環境配慮型社会の
構築に向けて

都市環境工学コース
栗栖 聖 准教授

環境配慮型社会とは

環境問題と一概にいっても、大気汚染や水質汚濁、廃棄物などの問題から、住環境のアメニティ、地球温暖化の問題まで、様々な問題があります。これらに対応していくアプローチもまた様々です。しかし、総じて、そこに暮らす人々の生活の質(Quality of Life; QOL)を保ちながら(もしくは向上させつつ)、環境に対しもたらされる負荷を小さくするために努力しよう、ということがいえます。このように環境負荷を小さくした社会を環境配慮型社会と呼ぶことが出来ると思います。

なぜ環境配慮型社会の構築を研究するのか

環境配慮型社会構築のアプローチには様々なものがあります。例えば、都市のインフラ整備のようなハードなものから、法規制といった政策レベル、さらには、市民への教育といったものも含まれます。これらの対策を実現していくには、様々な側面を評価することが求められます。例えば、実際に今どれだけ環境負荷が出ているのか、対策をしたらそれがどれくらい減るのか、対策にはどれくらいお金がかかるのか、対策をすることによって人々のQOLはどれ位変わるのか、さらには、その対策は市民に受容されうるのか。これらの議論なしに、実効性を伴う環境施策を構築することは不可能です。そのためには、ひとつの側面のみを見ていては不十分であり、様々な側面を対象に、評価研究を進めて行くことが必要となります。

環境配慮型社会の構築に向けて

どのような研究を現在進めているか

今我々が取り組んでいるアプローチには大きくふたつの視点があります。ひとつは、実際にどれ位の環境負荷が出ているのかをきちんと定量化しよう、というアプローチ、もうひとつは、市民の行動様式や意識に基づき、様々な環境施策の受容性を把握しよう、というものです。ひとつめの環境負荷の定量化においては、対象となるシステムや製品のライフサイクル全体から出される環境負荷を定量評価する研究を行っています。例えば、環境配慮型都市を構築するために、バイオマス発電のような再生可能エネルギーシステムを導入するケースを考えるとします。その場合、対象地域でどれ位のバイオマス供給があり、それに基づいて、どれ位のバイオマスプラント導入が可能であり、さらにはそれに伴って、どれ程のCO2削減が可能なのか、といったことを、計算し評価します。そのような机上での算定はできるわけですが、一方で、実際に対象となる地域住民にとって、そのようなバイオマスプラント導入というものが受け入れられるものかどうか、ということも施策の実効性を考える上では重要となってきます。そこで、もう一つの視点、市民の側からの技術や施策の受容性を評価する、という研究も進めています。

現在の研究展開

上述したように、実際にそこに住んでいる人達が、環境配慮型社会の構築に向けて、どのように動きうるのか、どのような施策であれば受容されるのか、を評価することは、工学の分野においても極めて重要なことだと考えています。そこで、近年、我々は、環境心理学や人々のリスク認知などに踏み込んだ研究を展開してきています。技術や環境情報、環境施策の住民からの受け取られ方を明らかにし、さらに、それに基づいて、どのような形で技術や施策を導入してゆけば良いかを考え、評価し、さらには実際に市民にフィードバックする研究を進めています。

環境配慮型社会の構築に向けて

環境配慮型社会の構築に向けて